建材・設備はどこで何から

作られているのか

著者:内田信平

カバーデザイン:松昭教(bookwall)

B5判、本文1色、2,400円(税抜)

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住まいのトレーサビリティについてマジメに考えた

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『住まいはかくしてつくられる――建材のトレーサビリティ』というタイトルで、2005~06年に「建築知識」に連載していた工場見学物の書籍化です。基礎工事に使う鉄筋・コンクリート、窓工事に使うサッシ・ガラス、断熱材のグラスウール、インシュレーションボードなど……、全16種の建築材料の製造工程を、北は青森から南は福岡までひたすら追いかけ続けた記録です。

元ネタは「カーグラフィック」に連載され、のちにムック化された名著『クルマはかくして作られる――いかにして自動車の部品は設計され生産されているのか』(福野礼一郎著)。

自動車部品の工場を訪ね歩くというマニアックな内容に、著者の内田信平先生(現・岩手県立大学准教授)がビビッとこられたらしく、「これの住宅版を私の自宅の材料でやりたい」と編集部に企画を持ち込まれたのが、壮大な工場見学旅の始まりでした。内田先生はそのとき、岩手県滝沢村に新築されるご自宅をご自身で設計されている真っ最中でした。

 

副題が「建材のトレーサビリティ」ですから、工場を一つ見学して終わり、というわけにはいきません。たとえば「グラスウール」のトレーサビリティなら、グラスウールの製造工場はもちろん、そこに原材料を供給しているガラスの再資源化工場まで見学に行くという徹底ぶりで、必ず建材の「源流」までたどり着かないと、この企画は終わりません。

とはいえ、担当編集者(配属2年目)としては毎月取材と称して日本中を修学旅行させてもらったようなもので、普段一般には公開していない工場を見せていただいたうえ、取材先の各地で旬の味をいただけるというオマケも付き(秋田のホヤの旨さははいまだに思い出す)、こんなに楽しい仕事はなかなかないなと、至福の1年間を過ごさせていただきました。

工場萌え』(東京書籍)がきっかけとなり、世間に空前の工場見学ブーム、テクノスケープブームが起こるのは、この連載が終わって1年後のことです。取材の先々で目にした工場内外の美しさに目を奪われていたわれわれは、「これは写真集にまとめて出版すべきだ」とやる気だけは人一倍みなぎっていたのですが、すぐ実行に移さなかったのが悔やまれます。

せめて、本書をカラーでつくっておけば、ブームの余波で少しは一般読者の目に留まったかもしれませんが、予算の関係上モノクロになってしまい、工場独特の色彩を伝えることもできませんでした。

後年、この取材で撮りためた写真を使って『建材工場』(2013)という写真集をつくったのですが、時すでに遅し。

やはり、出版にはタイミングというものがあります。

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