建設業者

三十七人の職人が語る 肉体派・技能系仕事論

著者:建築知識編集部(藤山和久)

装幀:稲葉英樹

四六判、本文1色、1,400円(税抜)

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落語家になったつもりで

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『現場の矜恃』というタイトルで2007~2010年まで「建築知識」に連載された建築に関わる職人さんへのインタビュー集です。「建築知識」絡みの取材でさまざまな建築現場に通ううち、現場で遭遇する職人さんたちの面白すぎるエピソードを世の中に伝えたくなり、個人的な思いだけで始めた企画でした。

書籍化に際しては、連載時から「あの職人連載は面白い」と気に入ってくれていたデザイナー・稲葉英樹氏に装幀を依頼しました。

デザイナーのなかには、稀に編集者が思いも寄らない視点で編集者以上の斬新な提案を出してくださる人がいますが、稲葉氏はまさにその典型です。

「普通の本にしても面白くないな」という企画は、稲葉氏のようなデザイナーに丸ごと持ち込むと、とんでもないアイデアが出てきます。

当初、稲葉氏とは「一般の女性にも読んでいただけるような間口の広い本にしたい」という、いま振り返れば薄っぺらいコンセプトをこねくりまわしていた時期もありました。

しかし、打ち合わせのテーブル上に並べられた職人さんのモノクロ写真を見るにつけ、「この写真で女子ウケはない」と、『間口を広げる作戦』の浅はかさを実感。ならばいっそ、誰にも好感を持たれない、女性には手に取ることすら嫌がられてしまうような嫌悪感あふれる本にしてしまおうと、逆張りの発想に転換しました。「誰も買いたくならない本」をゴールに、ウケたいという欲求をあらゆる面から排除していったわけです。

タイトルも、建築絡みで思いつくいかにも悪そうな単語をホワイトボードに書き連ね、最もイメージの悪かった『建設業者』に決定。

写真は怖そう、タイトルは悪そう、扉紙は黒一色で文字なし。

「よし、これで誰も買わない本ができた」と悦に入っていたら、発売直後からなぜかネット界隈で盛り上がり、新聞・雑誌からの取材もひっきりなしに。書評もたくさん掲載され、しまいにはNHKのプロデューサー氏から「この本に出ている職人さんを『プロフェッショナル 仕事の流儀』という番組で取り上げたいので連絡先を教えていただけないか」と尋ねられる始末。予想外に反応のよい本になってしまいました。

落語の要諦は「笑わせようとして話さないこと」といわれますが、たしかにそういう下心がなくても、もともとの噺が面白ければお客さんは勝手に笑ってくれます。そのメカニズムが書籍編集の世界でも有効だと教えてくれたのが、この『建設業者』でした。人情噺もあれば滑稽噺もある。職人の半生という十人十色の噺を私が聞き取って紙に写せば、それでこの企画は十分成立していたのです。

最後に、武田砂鉄氏の書評をご案内しておきます。

http://www.cinra.net/review/20130107_book_kensetsu

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