エアコンのいらない家

自然のチカラで快適な住まいをつくる仕組み

著者:山田浩幸

装幀:水戸部功

A5判、本文2色、1,400円(税抜)

フジヤマオフィス・ホームへ
前のページへ
次のページへ

ジャンルは「エコ」でも、エコを引っ込める

フジヤマオフィス・ホームへ

タイトルどおり、エアコンを使わなくても快適に過ごせる住宅のつくり方を解説した本です。東日本大震災以降、世間が「電力」についてあらためて考え始めたこともあり、発売直後からさまざまな反響をいただきました。

著者の山田浩幸先生は、これ以前にも「建築知識」の特集記事でたびたびお世話になっていた、設備設計がご専門のベテラン設計者です。

あるとき私が、「軒(のき)も庇(ひさし)も出していない家に省エネ設備を組み込んで、『エコ住宅をつくりました』と得意になっている建築家がいますが、あれ、根本的におかしいですよね」と投げかけると、「そのとおりです。あんなに電力を使う家はエコでもなんでもありません」と一刀両断。

続けて、「エアコンを使わなくても快適に暮らせる家ってないのでしょうか?」とうかがうと、「すでにそういう家はあります。私も何軒か設計させていただきました」。

「それは面白い!」となり、具体的に企画化したのが2011年3月。

本格的に暑くなる7月までには出版したいという思いがあり、私も山田先生も走りながら考えるようなスピードで作業を進めていきました。

予定どおり7月に出版できたので、執筆から編集まで実質3カ月でつくった本になります。

編集に際しては、「エコ」という言葉を使わないように気をつけていました。当時(2011年)は、エコロジーをテーマにした本が次々と乱発されていた時期でしたが、少なくともエクスナレッジから出版された本でセールス的に好成績を収めた「エコ本」は1冊もありませんでした。

エコというジャンルは、つくり手が思うほど世の中にニーズがないというのが私の実感です。同じエコでも、家を建てる人が気にするのはエコロジーではなくエコノミー(経済的)のほうのエコでしょう。

そんなわけで、あえてエコという言葉を封印した結果(かどうか知る由もありませんが)、『エアコンのいらない家』は皮肉にもエクスナレッジで唯一売れた「エコ本」になりました。

本書の出版を機に、山田先生の事務所には「うちも『エアコンのいらない家』になるような設計をしてほしい」という依頼が殺到しました。

大学や企業からの講演依頼も相次ぎ、それまでの環境が激変するくらい1冊の本の影響は大きなものがあったようです。

あれから5年。

いまや山田先生は、この本の名を冠した家づくり事業まで展開されるようになりました。1冊の本が著者の人生を変えたという意味では、私の場合、この本が最大のインパクトでした。

前のページへ
次のページへ

 

 

 

 

 

(c) fujiyama office