住まいの解剖図鑑

心地よい住宅を設計する仕組み

A5判、本文2色、1,800円(税抜)

著者:増田奏

装幀:寄藤文平(文平銀座)

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寄藤文平氏が選ぶ「2009年いちばん面白かった本」

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住宅がある種の生き物だとするなら、その「骨格」や「内臓器官」はどのような進化発展を遂げ現在の形態に至ったか。著者みずからのイラストで図解した、住まいと建築の解剖図鑑です。

 

元ネタは、著者・増田奏先生の関東学院大学での講義メモ。

建築学科の1年生を指導される際、住宅設計の初歩的なルールを知らない学生たちがいつもトンチンカンな図面を描いてしまうことから、「彼らに住宅設計の基本中の基本を伝えるブックレットのようなものをつくろうと考えている」。そんな話をうかがったのがきっかけでした。


建築関連書としては異例の10万部を売り上げる本になりましたが、本書が成功した要因の8割くらいは、装幀の寄藤文平さんにあるのではないかと思っています。

装幀を寄藤さんにお願いすることになり、当時まだ銀座にあった事務所に増田先生と二人でおじゃますると、持参した原稿をごらんになった寄藤さんは、少し悩んでこう言われました。

「駐車場が広すぎる」。

そのときの原稿は1テーマあたりの分量が8ページくらい(最終的には4ページに圧縮)で、あれもこれもと話題豊富に詰め込んだことで、読者の視点が定まらない散漫な内容になっていたのでした。

そんな、まとまり切っていない原稿を読んだ気分を、だだっ広い駐車場に出くわした戸惑いにたとえて、「クルマをどこに止めてよいか迷う」と表現されたのでした。

その一言で目が覚めたわれわれは、それまでの原稿をすべてゴミ箱に放り投げました。

そして、テーマごとの解説内容を極限まで絞り込み、当初は3章に置いていた「玄関」「リビング」といった各室の解説を冒頭に移動、のちに「解剖図鑑的」と称されるようになる、イラストと文章が絡み合った独特のリズムで原稿をつくり直すと、それは「クルマの止めやすい」、住まいの本質をたちどころに理解できるものになっていました。

刷り上ったばかりの本書を見た営業部の偉い人(のちに社長)には、「こんな本は500部も売れない」とバカにされましたが、現場の書店員さんからは大変好評で、新聞・雑誌・個人ブログを問わずたくさんの書評も掲載されました。

するとほどなく、他社から『○○の解剖図鑑』『○○図鑑』と題した本が出版されるようになり、書店の片隅でちょっとした「解剖図鑑ブーム」のようなものが起こりました。

極めつけは、私の知らないうちに(「知らないうちに」というのがスゴイですけど)、同じ社内から『○○の解剖図鑑』と題した『住まいの解剖図鑑』とはまったく関係ない本が出版されたことで、他社の類似本は笑ってごらんになっていた増田先生も、そのときばかりはさすがに気を悪くされたようでした(『○○の解剖図鑑』はテーマを変えていまだに出版が続いているようです)。

2010年の年明け、前年11月に発売された本書をたずさえ、増田先生と二人で再び寄藤さんの事務所にお礼のご挨拶にうかがいました。

そこでの寄藤さんの一言。

「毎年年末になると、うちの書籍デザイン担当者と『今年つくった本のなかでいちばん面白かったもの』を選んでいるのですが、2009年は彼も私も『住まいの解剖図鑑』を1位にしました」。

というわけで、本書は寄藤文平氏が選ぶ「2009年に自分がデザインしたなかでいちばん面白かった本」という栄誉に浴すことにもなりました。

寄藤さんに始まり寄藤さんに終わった1冊です。

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